2011年11月30日水曜日

周辺国の介入と中国解放軍の動き

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● 大国が争う南シナ海



朝鮮日報 記事入力 : 2011/11/30 12:38
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/30/2011113001458.html

南シナ海問題に各国介入、中国をけん制

 「南シナ海の航海の自由は、米国の国益にかなう」
 「欧州連合(EU)としては難しいことだが、喜んでバランサーの役割を果たす」―。
 南シナ海問題が中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の一部との局地的な領有権争いから世界的問題へと急浮上している。

 「アジアへの復帰」を宣言した米国は、オーストラリアに海兵隊を駐屯させるなど、南シナ海での制海権を強化しており、欧州連合(EU)も紛争が激化した場合、介入も辞さない姿勢を示している。
 インドや日本もベトナム、フィリピンとの軍事・経済面での協力を拡大し、中国に対するけん制に乗り出している。
 ロシアとオーストラリアは、東アジア・サミット参加、米軍への基地提供という形で問題に関与し始めた。

 専門家の間では、南シナ海が今後、世界の列強の争う場となるとの見方が示されている。
 ロバート・カプラン米国防総省国防政策委員は最近、外交専門誌『フォーリンポリシー』への寄稿で
 「21世紀の戦争は海から起きる。
 南シナ海が冷戦時代のドイツのように、数十年間にわたり最前線になる」
と指摘した。

■資源をめぐる数十年の紛争

 台湾海峡からマラッカ海峡に至る南シナ海は、面積が350万平方キロに及ぶ広大な海域だ。
 ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ブルネイのASEAN5カ国は、1970年代から中国と同海域の西沙諸島(パラセル諸島)、南沙諸島(スプラトリー諸島)の領有権をめぐり、対立を繰り広げてきた。
 74年には中国とベトナムの軍事衝突も起きた。

 中国は、歴史的にこの海域は中国の領海だと、主張している。
 その範囲は南シナ海の面積の86%に相当する300万平方キロに達する。
 これに対し、ASEAN5カ国は国際海洋法に基づき、200カイリの排他的経済水域(EEZ)を主張している。
 西沙諸島と南沙諸島の島と岩礁に対する所有権の主張も入り乱れている。
 紛争の背景には、海底に眠る膨大な資源がある。
 中国は南シナ海に230億トンの石油、7500立方キロの天然ガスが埋蔵されていると推定している。

■中国の独走をけん制

 しかし、世界各国が先を争い、南シナ海問題に関与する理由はほかにある。
 南シナ海を中心とする東アジア経済圏に対する影響力の確保だ。
 インドを含む東アジア経済圏の人口は世界人口の約半分の34億人に達する。
 域内総生産(GRP)も全世界の約25%を占める。
 中国とインドは世界で最も急速に成長する国に数えられる。

 南シナ海はその巨大な経済圏の命脈を握る場所だ。
 マラッカ海峡から南シナ海に至る海域は、世界の商船航行量の3分の1が通過する。
 物資の動きはスエズ運河の6倍、パナマ運河の17倍に達する。
 中国とベトナム、フィリピンの武力紛争でも起きれば、世界経済に大きな影響を及ぼしかねない。
 石油の大半を中東からの輸入に頼る韓国にとってもよそ事ではない。
 各国は南シナ海を中国が掌握することを傍観できないと考えている。

■戦略の相違

 大国は南シナ海周辺の将来について、異なる戦略的構図を描いている。
 オーストラリア国立大のヒュー・ホワイト教授は、昨年発表した論文で
 「中国は南シナ海を米国が支配するカリブ海のようにしたいと考えている」
と分析した。
 域内国の主権にまで手を付けようというわけではないが、強大な経済力を背景として、圧倒的な影響力を行使する新たな形の「帝国」を夢見ているとの指摘だ。

 ホワイト教授は、米国、中国、インド、日本などが主な構成国となり、米中が対等に影響力を行使するEUのようなモデルも可能だと予測した。
 しかし、強い軍事力を持つ米国と躍進する大国・中国がそんな構図に満足するかどうかは未知数だ。
 ホワイト教授は、両大国の対立でアジアが不安定に陥る可能性もあると分析した。




朝鮮日報 記事入力 : 2011/11/30 12:40
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/30/2011113001460.html

ラッド豪外相インタビュー
「南シナ海の紛争解決を支援したい」



 オーストラリアのラッド外相は29日、本紙のインタビューに応じ、南シナ海の領有権争いをめぐり
 「外交的な方式で平和的に解決できるよう支援することがオーストラリアの役割だ」
と説明した。

 オーストラリアも、領有権や制海権をめぐる争いで国際社会の関心を集めている南シナ海問題に敏感に反応している。
 釜山で行われた世界開発援助総会に出席するため、韓国を訪問したオーストラリアのラッド外相は29日、ソウルのオーストラリア大使館で本紙とのインタビューに応じ、南シナ海での対立はオーストラリアの国益にも密接な関係があると指摘した。
 ラッド外相は
 「オーストラリアは海洋国家であり、輸出の約60-65%が南シナ海を通過するため、同地域に常に関心を抱いている」
と述べた。

 オバマ米大統領がアジア重視政策を宣言し、アジア太平洋地域で米中の対決ムードが高まっていることに関連し、ラッド外相は
 「米国が1945年以降、アジアで支配的な役割を果たす中、中国が急成長する経済と強い軍事力を持つに至ったことは、アジア各国には大きな試練だが、東アジアサミット(EAS)のようなメカニズムがあることは幸いだ」
と述べた。

 影響力が急速に拡大する中国が、アジア各国と共通する安全保障上の関心事について話し合うことが重要との指摘だ。
 今月18-19日にインドネシアで行われたEASには、アジア各国をはじめ、米国が初めて出席し、中国、ロシアも出席した。会議では南シナ海問題が集中的に話し合われた。

 ラッド外相は
 「今回のEASでは、初めて米中と関連国が一つのテーブルに座り、安全保障問題を話し合った。
 いかにこの機構をアジアの繁栄と安定のために活用していくかが課題だ」
と指摘した。

 米国がオーストラリアに米海兵隊2500人を配置することを決めたのは、中国に対するけん制が狙いだとの見方について、ラッド外相は
 「オーストラリアと米国は発生可能性があるあらゆるリスクに対処するため、これまでの合同軍事演習を拡大しただけであって、特定国を狙ったものではない」
と説明した。

 オーストラリアが国際社会で目指す役割は
 「クリエーティブ・ミドルパワー(創意的な中級国家)
だ。
 ラッド外相は
 「積極的な外交、強い経済、国際社会への参加に基づき、われわれの問題だけでなく、ほかの国・地域の問題解決に向け努力する国がクリエーティブ・ミドルパワーだ」
と解釈した。




朝鮮日報 記事入力 : 2011/11/30 12:33
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/30/2011113001455.html



米国のゲーツ前国防長官が来韓
「中国指導部は軍の行動を知らない」

 米国のロバート・ゲーツ前国防長官(写真)は
 「中国の民間指導者たちは軍部を統治しているが、軍部は毎日のように行っていることについて知らせていないようだ」
と語った。

 韓国を訪問中のゲーツ前国防長官は29日、ソウル国際フォーラム(李洪九〈イ・ホング〉理事長)が開催した設立25周年記念行事で演説を行い、その席で中国の指導部と軍部の関係について質問を受け、このように語った。
 ゲーツ前長官は
 「今年1月に胡錦濤国家主席と会談したとき、ちょうど数時間前に行われたステルス戦闘機“殲20”の初飛行について尋ねてみたら、胡主席はもちろん、陪席していた人々の中にも、知っている人はいなかった。
 中国の指導部は、中国軍部が(2007年に)自国の(古い)衛星を撃墜したときもそれを知らず、
 
南シナ海での中国軍の行動についても知らされていない
と語った。

 ゲーツ前長官は29日の演説で、最も危険な国として北朝鮮、パキスタン、イランを挙げた。
 またゲーツ前長官は、講演に先立って記者会見を行い
 「米国の(連邦政府財政赤字削減のための)スーパー委員会が合意を導き出すことに失敗し、国防費6000億ドル(約47兆円)を追加削減しなければならないというのは危険なこと」
 「オバマ政権はアジアの戦略的重要性を強調しており、アジアに(戦略的)優先順位を置いているものと考えている」
と語った。

 続いてゲーツ前長官は、忠清南道鶏竜台で韓国軍の幹部を対象に講演を行った。
 米国の元・現職国防長官が韓国軍を対象に講演するのは、今回が初めてだ。
 ゲーツ前長官はこの日の講演で
 「米国で国防予算が削減されているが、韓米同盟には何の影響も与えないだろう」
と語った。

 ゲーツ前国防長官は、28日に李明博(イ・ミョンバク)大統領から保国勲章統一章を授章された。


 世界に視点が南シナ海に向いている。
 日本が「経済ナンバー2」のポストを中国に明け渡した途端、アメリカが正面切って中国の前面に立ち始めた。
 これまでは、ナンバー3であったため、出ていくことにためらいがあったようだが、ナンバー2となり、アメリカの次に位置するようになれば、もうアメリカとしてはそれを牽制するものは何もなくなる。

 今、中国で問題なのはバブルの崩壊と解放軍の動きだ。
 中国解放軍というのは中華人民共和国の軍隊ではない。
 つまり、国家の軍隊ではない、ということ。
 中国は国家の軍隊を持っていないという、非常にいびつな構造をもっている。
 なら、解放軍とは何か。
 中国共産党の軍事組織である。
 共産党の軍事組織が暫定的に中国国家を守る軍事力となっているのが今の中国。

 ソビエトでは当初ソビエト解放軍は共産党の私軍であった。
 しかし、その後制度の改革が行われて、
 共産党党軍からソビエト連邦国軍隊になった

 よって、ソビエト政府のコントロール下におかれ、共産党とは別のものになった。
 ソビエトが崩壊してエリツインが出てきたときも、ソビエト軍は動かなかった。
 国家軍隊は政治的関与をしないことを掲げたのである。
 合法的政府組織の命令にのみ行動するようになっていたのである。
 中国はまだそれを果たしていない。

 さて中国解放軍だが、これ共産党の私軍だとすると、現在の状況はその
 共産党の命令が届かない組織になりつつある
ということになる。
 もともとが私軍だからもし、共産党の権威が及ばないようになると、暴走が始まる。
 軍というのは政治的にはレベルが低い。
 ただ、力に頼ることになる。
 そして己の力を過信するようになる。
 国軍なら、政府のコントロールを受け入れざるを得なくなるが、私軍だともはや手の打ちようがなくなる。
 共産党というボスから離れて、「解放軍党」という組織になり、その軍事組織になる可能性もある。
 おそらくは昨今の中国の成金主義を解放軍はニガニガしく思っているだろう。
 共産党が今の動きを加速させ貴族主義に偏向していくと、共産党と距離を置く動きもありえる。
 もともと、国軍でなく私軍であるので、どうにも転べる自由は持っている。
 周辺国の介入にしびれを切らした解放軍が、共産とを逆に動かして打って出ることもあり得る。
 ちょうど戦前の日本のように、軍部の暴走がキッカケで熱戦が始まることもありえる。
 こういうことについては、日本はすでに自ら経験済みなので、ちょっと歴史をひもとけば、だいたいの政治状況は分かってくる。

 南シナ海は戦争のイヌが出張り、EUが介入をほのめかし、解放軍が共産党傘下を離脱することもありえる、といった複雑な様相を呈しはじめている。



朝鮮日報 記事入力 : 2011/12/06 09:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/12/06/2011120600632.html

中国に太平洋艦隊創設待望論、日米に対抗

 中国の官営メディアは最近、中国海軍内部で太平洋艦隊創設の必要性を指摘する声が上がっていると報じている。
 太平洋での日米の制海権に正面から挑むべきとの指摘だ。

 新華社と系列紙の国際先駆導報は5日、匿名の専門家の話として
 「中国が真の海洋国家として、名実共に遠洋海軍の力を発揮するためには、当然太平洋艦隊を創設しなければならない」
と報じた。
 ある軍事専門家は
 「太平洋は特定国が規制を加える『個人用プール』ではなく、どの国でも公平に使用できる『公営プール』だ。
 互いに競争するように見えるが、そうしてこそ互いに協力し、平和に共存することができる」
と主張した。

 新華社はまた
 「日米は第1列島線(沖縄-台湾-フィリピン)と第2列島線(サイパン-グアム-マリアナ諸島)で中国海軍を封鎖する戦略を展開している。
 両国がそうした冷戦的な思考で海の主導権にこだわる以上、軍事的摩擦や衝突は避けにくい」
と指摘した。

 中国国内の軍事フォーラムなどでも、太平洋艦隊創設論が相次いで示されている。
 ある軍事専門家はブログで「太平洋艦隊は中型空母、ヘリ空母、ミサイル駆逐艦、攻撃用潜水艦、大型補給艦などで構成すべきだ。
 (中国の)北海艦隊、東海艦隊の一部を合併させれば、十分に太平洋艦隊を創設できる」と主張した。
 中国海軍は
1.韓国に面する西海(黄海)を管轄する北海艦隊、
2.東シナ海の東海艦隊、
3.南シナ海の南海艦隊
という近海防衛を目的とする3艦隊で構成されている。

 新華社は先月下旬、中国海軍の西太平洋進出演習についても詳細に報じた。
 演習には北海艦隊所属のミサイル駆逐艦2隻、ミサイル護衛艦2隻、補給艦1隻、電子偵察船1隻の6隻が参加した。
 ミサイル駆逐艦「石家荘」は、北海艦隊で最大の6400トン級で、最新のS300対空防衛システムを備えている。

 中国は今年6月にも東海艦隊所属の艦艇11隻を動員し、日米の第1列島線を突破する演習を実施した。
 中国海軍の西太平洋進出演習は、昨年2回、今年2回の計4回実施された。
 中国軍関係者は
 「過去には日米の電子監視を恐れ、隠れて演習を実施したが、現在は中国も対等な監視装備を備えているため、もはや隠す必要はなくなった。
 自由に大洋に出入りするだけでなく、日米の監視下でも余裕を持って演習を行っている
と述べた。





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