2011年12月2日金曜日

中国の貧困人口::1億2800万人

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提供:ハンギョレ新聞 2011年12月02日06時00分
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1569764.html#more

中国、一夜にして新貧困層 1億人 増えた

原文入力:2011/11/30 20:42(996字) パク・ミンヒ記者

年間所得‘1274中国元→2300中国元’へ貧困基準 2倍に上げる
貧富格差・内需停滞 解決法…1日1.25ドル 国際基準には未達

 中国の貧困人口が2688万人から1億2800万人に一夜で5.5倍に増えた。
 中国当局が貧困ライン基準を既存の年間所得1274中国元から2300中国元へ2倍近く高めたためだ。

 胡錦濤国家主席と温家宝総理など中国指導部が参加した中で29日に開幕した貧困軽減工作会は貧困基準線を上方修正し貧困層支援対象を大幅に増やしたと<新華社通信>が30日報道した。
 今回の調整で
 中国全体人口の約10%

 農村人口の13.4%に当たる
 1億2880万人が政府の貧困支援金を受け取ることになった
 ほとんど日本の人口に匹敵する数字だ。
 中国農村低所得層保障政策によれば、2300中国元と自身の実際所得の差額の補助を受け取り、老人、子供、障害者などがいれば該当補助金を上乗せで受けることになる。

 全世界経済危機の中で低所得層支援を破格的に増やした今回の措置は貧富格差拡大と内需停滞問題に対する中国の解決法だ。
 胡錦濤主席は会議で
 「2020年までに貧困階層が衣食問題を心配せずに、義務教育・基本医療・住宅を保証され、貧困農民の所得増加率が全国平均より高くなるようにして貧富格差拡大の流れを逆転させる」
と宣言した。
 中国は労働者の賃金引上と低所得層支援拡大を通じて内需が経済成長の主要軸とする政策を推進している。

 去る30年間続いた高度成長を通じて中国人3億人が貧困から脱出したと推算
 されるが、都市-農村、貧-富の格差はますます広がってきた。

 今回の調整は一日1ドル未満の生活を基準としたもので、
 一日1.25ドル未満を貧困層に分類する世界銀行や国連などの国際基準とはまだ差がある。

 専門家たちは貧困ライン基準がまだ低いうえに支援額があまりに少なく実際に農村の責任を負った村官たちが補助金を農民に渡さず着服する問題も深刻で透明な制度運営が重要だと指摘している。


 人口の約1割が貧困層だという。
 また、その貧困基準は国際基準の「0.8」と低く見積もられている。
 もし、国債基準の「一日1.25ドル」を適用するとどうなるのだろう。
 2億人くらいになるのだろうか。
 おそらく最低でも1億5千万人以上は確かだろ。




サーチナニュース  2011/12/14(水) 17:42
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=1214&f=column_1214_013.shtml

「豊かになった?」
中国で貧困ラインの大幅引き上げ、貧困人口が再急増


  中国では去る11月29日、中央貧困脱却活動会議は北京で開かれた。
 同会議で、中国政府は農村部の貧困基準にあたる「貧困線」を年間純収入2300元(約2万8200円)に引き上げることを決定した。
 現行の貧困線は1274元だから、それより92%とほぼ倍増させることになった。

  同会議には胡錦濤共産党総書記および温家宝首相も出席し、それぞれ重要な発言を行った。
  胡総書記の発言の中で特に注目されるのが、貧困脱却の2020年までの目標に関する言及である。

  「2020年までに、支援対象である貧困住民が衣食の心配もないことを安定的に実現し、その義務教育、基本医療と住宅を保障する。
 貧困地域における農村住民の1人あたり純収入の伸び率が全国平均より高く、基本公共サービスの主な指標が全国平均に近づき、格差拡大の趨勢を転換させるようにする」。

  また、温首相は、貧困線を大幅な引き上げ、それに伴ってより多くの低所得者を貧困脱却の支援対象に組み込むことは
 「社会発展の進歩であり、貧困脱却を強化するための重要な措置だ」
と強調する(ウェブサイト「新華網」2011年11月29日付)。

  一方、この新しい貧困線の発表は中国の国民に大きな衝撃を与えているだけでなく、国際社会の中でも大きな波紋を呼んでいる。
 長年続いてきた高度経済成長は中国の国民生活を大きく改善させた。
 これはすでに世界共通の認識になっているだけに、今回貧困線の改正に伴う貧困人口の急増は
 「豊かになった中国」
 「強くなった中国」
 「世界第二位の経済大国中国」
といったイメージや評価を根底から覆す恐れすらある。

  周知の通り、貧困人口の規模は貧困線の調整によって変動するものである。
 中央貧困脱却活動会議開催の約2週間前(11月16日)に発表された貧困脱却の白書「中国農村貧困脱却の新進展」によれば、貧困線は2000年の865元から2010年の1274元に引き上げられた。
 それに伴い、農村部の貧困者は9422万人から2688万人に減少し、農村部の貧困者が農村部の総人口に占める割合も10.2%から2.8%へと下落した。

  しかし、わずか2週間後、この大きな成果は新基準の適用によりがらりと変わることになった。
 まず、貧困人口の規模は十数年前に逆戻りして1億人を突破し1億2800万人に達する。
 これは実に中国の総人口の1割弱に相当する。
 次に、農村部の総人口に占める貧困者の割合(貧困率)はふたたび2ケタの13.4%へと急上昇する。

  筆者は2008年3月2日に放送された
 NHKスペシャル「激流中国・上海から先生がやってきた~貧困の村で~」
を録画して、大学の授業で使っている。
 それを観た日本人の学生はもちろん大きなショックを受けたようだが、中国人留学生も
 「中国では今もこんなに多くの貧困地域が存在し、膨大な数の農村住民が貧しい生活を送っているとは全然思わなかった」
と衝撃を隠せない。

  中国人留学生なのに、なぜ母国の事情も知らないの?という疑問を持たれるだろうが、ちゃんと理由がある。
 日本に来ている中国人留学生は、都市部の出身者や沿海地域の者が圧倒的に多い。
 農村出身者もかなりいるけれど、国が指定している貧困地域とは限らない。
 彼ら(彼女たち)は20~30代の若者で、かつて毛沢東時代の「国民皆貧困」を経験したこともないし、貧困地域に行ったこともない。
 中には、農村部に一度も行ったことがないような者すらいる。
 中国にはまだ貧しい人がいるという漠然とした知識やイメージを持っているかもしれないが、その貧困はどの程度のものなのか、貧しい農村住民はどれだけ厳しい環境に置かれているかについてはほとんど知らないのが現状だ。

  もちろん、これは決して中国人留学生だけに当てはまることではない。
 実は多くの中国の国民、とりわけ都市住民は農村地域の深刻な貧困を認識していないのだ。
 これは、農村住民の貧困は高度経済成長の陰に隠れている問題だといった現実とも密接につながっている。

  一方、中国の農村貧困者は1億2800万人にとどまらず、これよりはるかに多いのではないかという指摘もある。

  現在農村住民の1人あたり年間純収入は、政府の公式発表によれば、2010年には前年より10.9%増の5919元となっている。
 この数字はいうまでもなく都市住民の1万9109元を大きく下回っている。
 つまり、農村住民は都市住民のわずか3分の1しかない。
 社会保障や社会福祉の格差なども入れて計算すると、農村住民の生活水準は都市住民より大きく遅れていることは動かない事実である。

  また、こうした現状の中で貧困線のあり方を考察することは妥当である。

  同じ2010年、農村住民の1人あたり消費支出は4382元だったので、1537元は再生産への投資や貯蓄などに回されたと考えられる。
 一方、エンゲル係数(家計の消費支出に占める飲食費のパーセント)は41.1%だったので、飲食に費やされたお金は1801元だということになる。
 しかし、2010年の貧困線は1274元。
 これは1801元という農村住民の飲食費の平均額と比べても、いかに低く抑えられている基準かということがわかる。

  今回の引き上げは2300元になるとはいえ、来年の農村住民の1人あたり純収入は引き続き10%の伸び率でいくと6500元ぐらいになるので、依然として低い水準のもので、決して一部の関係者が言っているようなバラ色ではない。

  ところで、なぜ中国政府は今となって貧困線の大幅な引き上げを決定したのか。
 国内外の分析も含めて、以下のような背景があると考えられる。

(1)貧困線が低すぎるといった批判への対応

  中国の貧困線は国連が定めたものよりはるかに低い。
 国内の一般国民の生活水準に照らしても、大変低く抑えている状態といわざるをえない。
 そんななか、さまざまな批判が沸き起こっている。
 国内外の批判を交わし、さらに国力の増強や貧困者救済の意気込みをアピールするために思い切った引き上げを決定したとみられる。

(2)貧困人口がなくなる事態の解消

  2010年には、中国の貧困人口は2688万人にまで減少した。
 低い貧困線のままでいくと、後少しで農村部から貧困者が消滅することになる。
 これも現実と大きく乖離していることで、その前に方針の転換や軌道の修正を行わざるをえない。

(3)発展途上国の地位維持

  貧困人口がなくなるという事態は国際社会の視点からも、実は中国政府にとって都合の悪いことである。
 貧困人口がなくなったことに加えて、経済規模は世界第二位、高度成長は世界経済の牽引役だ、等々を総合的に判断すると、中国は国際社会から発展途上国と見なされなくなる可能性がぐっと高まる。
 しかし、中国は昔でも第三世界の盟主を自認していたし、今は発展途上国家のスポークスマンとして世界の政治舞台でその力を発揮できることを望んでいる。

(4)次期政権への宿題

  胡錦濤政権は来年秋開催の第18回中国共産党党大会をもって退陣する。
 高度経済成長、国民の貧困問題の緩和、社会保障制度の整備などは現政権の取り組みの中核をなしているだけに、退陣前に新しいレールを敷き、自分が方向付けした国家の中長期ビジョンを次期指導部に引き継いでもらおうとすることは必然的である。
 一方、1億人以上にのぼる貧しい国民を今後どう救済していくかは、次期習近平―李克強政権にとって極めて重い宿題であることも間違いない。
(執筆者:王文亮 金城学院大学教授  編集担当:サーチナ・メディア事業部)






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