2011年12月14日水曜日

「中国は隣国なのか、海賊なのか」、凶器は刃渡り17センチ

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● 李明博政権は反中感情を強める世論に直面している(13日、ソウルで警官ともみ合うデモ隊)=ロイター


● テレビ朝日



毎日.jp 2011年12月13日 22時8分 更新:12月13日 23時47分
http://mainichi.jp/select/today/news/20111214k0000m030082000c.html

韓国海洋警官殺傷:対中国感情の悪化に政府が苦慮

 韓国海洋警察官2人が違法操業の中国漁船船長に殺傷された事件を受け、韓国国民の対中感情が悪化している。
 ソウルでデモが起きる一方、韓国政府は来年1月予定の李明博(イ・ミョンバク)大統領訪中の再検討もちらつかせる。
 中国側は遺憾の意を表明し、早期の事態収拾を図りたい考えだが、国内に船長への同情論や対韓強硬論も出ており、対応に苦慮しているようだ

 青瓦台(大統領府)によると、李大統領は13日の閣議で
 「特別予算を編成してでも装備や人員を補強しこのような事故が起きないよう強力な対策をとれ」
と指示。
 政府は中国漁船の違法操業や抵抗が続く原因を分析し、中国側と解決策を協議する方針を発表した。

 取り締まりに対する中国漁船の抵抗は凶暴化し、これまでも問題となっていた。

 海洋警察官が漁船に乗り移る際、鉄パイプや刃物を振り回すケースや、乗り移れないように金網やパイプを船体に装着するケースが目立つ。
 仲間の船を拿捕(だほ)されないよう10隻前後がロープで縛り合い横一列になって逃走することも。捕まれば数千万ウォンの高額な罰金や中国での処罰が科せられるため、抵抗も激しくなる。

 昨年12月に起きた中国漁船取り締まり中の死亡事案では、中国漁船が韓国の警備艇に体当たりして転覆。
 乗組員1人が死亡、1人が行方不明になったが、漁船員の抵抗で警察隊の4人が負傷した。
 この時は中国側の3人を拘束したが「円満な解決」を望む中韓両政府の意向が反映され不起訴となった。

 対中感情悪化を受け、13日午後にはソウルの中国大使館前で複数の団体が断続的にデモを実施した。
 参加者は数百人に上り、「中国政府は謝罪しろ」などとシュプレヒコールを上げた。
 事件を報じるインターネットニュースサイトの掲示板には
 「人を殺しても謝罪の言葉もない。やつらこそ厚顔無恥だ」
などと、強い中国批判が並んでいる。

 一方、中国側は外務省の劉為民報道局参事官が13日の記者会見で「不幸な事件であり、海洋警察隊員が亡くなったことに中国側として遺憾の意を表明する」と語った。

 前日に弔意の表明がなく韓国世論が反発した事態を意識したとみられる。

 中国は6カ国協議議長国として韓国の協力が協議再開に不可欠と認識している。
 さらに、米国主導の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)で「対中包囲網」が築かれるとの危機感から、日中韓による自由貿易協定(FTA)の交渉入りを働きかけている。

 一方で、海洋権益を巡って弱腰外交は見せられない事情もある。
 尖閣諸島沖の漁船衝突事件や、南シナ海でのフィリピン当局による中国漁船拿捕など、漁船が絡む事件は領有権が関わることが多く、国内の対外強硬論を刺激しやすい。

 中韓間では漁業協定により相手側の排他的経済水域(EEZ)内で操業できる漁船数や漁獲量の上限を定めているもののEEZの境界画定で正式な合意はない。

■韓国海洋警察官殺傷事件
 12日午前5時40分ごろ、仁川市小青島(ソチョンド)から南西87キロの韓国側排他的経済水域で、中国漁船「魯文漁」(66トン)など2隻が違法操業しているのを韓国海洋警察が発見。
 警察官が魯文漁に乗り移ってほぼ制圧したが、程大偉船長(42)を拘束しようとしたところ程船長が凶器を持って襲いかかり、警察官の李清好(イ・チョンホ)さん(41)がわき腹を切られて死亡、もう1人も負傷。
 仁川海洋警察署は13日、程船長を殺人容疑で逮捕状を請求。
 程船長は4月にも済州島沖で違法操業し、摘発されていた。
 凶器はその後の調べで刃物(刃渡り17センチ)と判明した。



● 過激化する中国漁船:時事より


日経.web 2011/12/14 1:37
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE3E1E2E78A8DE3E1E3E0E0E2E3E39C9CEAE2E2E2

中韓、事態収拾難しく 海洋警察官殺傷
韓国大統領に世論の圧力



 【ソウル=山口真典、北京=島田学】韓国海洋警察係官2人が違法操業中の中国漁船を拿捕(だほ)しようとした際、漁民に殺傷された事件で13日、中国政府は前日までの対応から変化し「遺憾の意」を表明した。
 だが、韓国では中国への反発が強まる世論に押される形で海洋警察庁が中国人船長ら9人の逮捕状請求を発表。
 両国政府とも関係悪化を避けたい考えだが、早期の事態収拾は難しい状態だ。
 
 中国外務省の劉為民報道局参事官は13日の記者会見で
 「不幸な事件だ。遺憾の意を表明する」
と言明した。
 明確な謝罪こそ避けた
ものの
 「韓国と積極的に歩調を合わせ、早く適切に処理されることを望む」
などとも発言。
 「事実関係の調査中」
とするにとどめた前日と異なり、表現を軟化させた。

 事件は中国が領有権を主張していない韓国の排他的経済水域(EEZ)内で発生したとされる。
 中国側は昨年の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件のように領有権問題が絡んで複雑化することはないとみたようで、当初は詳細な事実確認を待って対応する方針だった。
 姿勢変化の背景には、
 韓国の反中感情が国際世論の中国脅威論を強め
かねないとの懸念が働いたとみられる。

 一方、韓国海洋警察庁は警察係官を刺殺した中国漁船船長には殺人などの疑いで、他の8人の船員には拿捕に抵抗した特殊公務執行妨害の容疑で、それぞれ逮捕令状を請求する。
 船長が使った凶器が、当初発表した「ガラス片」でなく、刃渡り17センチの「包丁」だったとも発表。
 殺意をもった抵抗だったと示唆した。

 韓国では強い姿勢を求める圧力が強まる。
 13日には保守系市民団体が「糾弾集会」を開き中国に謝罪を要求。
 聯合ニュースによると約300人が集まり「中国政府に抗議する」と主張する男が車で大使館前の警察バスに突入した。



 残り任期約1年で求心力が低下する中、来年4月の総選挙を控える李明博(イ・ミョンバク)大統領は世論を抑えにくい状況。
 自らの訪中を調整中で対中関係の悪化は避けたいが、事件対応の鈍さは批判を招く。

 このため韓国政府は中国に謝罪と違法漁船の摘発強化を迫る立場をとる。
 13日には摘発強化へ予算措置を講じると発表。
 任鍾龍(イム・ジョンリョン)首相室長は艦艇や装備の増強など総合対策を「早急にまとめる」と強調した。
 だが、中国の違法漁船摘発は尖閣諸島沖の事件後の日中間でも思うように進まない。
 中韓間でも取り組みの溝を埋めるのは時間がかかりそうだ。




TBS ニュース







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