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DIAMOND ONLINE 2011年12月6日
http://diamond.jp/articles/-/15208
気づけば“一周遅れのフロントランナー”に!
世界危機で聞こえ始めた「2012年日本再浮上」の福音
■世界情勢の不安要素はむしろチャンス
日本復活を裏付ける「3つの福音」
1990年のバブル崩壊以降、わが国経済は長期低迷の時期を過ごしてきた。
その間、物価変動を加味しない名目ベースでの経済成長率は低下し、我々の給与はほとんど上昇していない。
その時期を、我々は“失われた20年”と称した。
多くの日本人が自信を失い“縮み志向”の中で生活してきたとも言える。
足もとでも、ユーロ圏の信用不安の拡大など暗いニュースが多い。
だが私は、そうした経済環境の急激な変化は、日本経済にとって「復活のチャンス」と見るべきと考える。
主な理由は3つある。
1つは、欧米経済の低迷が続きそうなことだ。
ヨーロッパや米国の経済は、まだ不動産バブルの後始末=バランスシート調整を完全に終了していない。
特に、欧州諸国はこれから財政支出を絞り込む。本格的な景気回復までには、時間を要することだろう。
2つ目は、今後、世界経済の中心となることが予想されるアジア諸国との親密な関係だ。
これから大規模なインフラ投資が見込まれる新興国、特にアジア諸国との関係を生かすことができれば、わが国の持つ高い技術力は大きな武器になるはずだ。
そして3つ目は、わが国経済が身軽なことだ。
1990年初頭、わが国の大規模な資産バブルが崩壊した後、わが国の金融機関は足かけ13年間の歳月をかけて不良債権を処理し、わが国経済はバランスシート調整を終わらせた。
つまり、わが国経済は、欧米諸国と比較するとバブルの“重荷”をすでに処理し終わり、身軽になっているのである。
問題は、我々自身が元気になれるか否かだ。
わけのわからない政治など置き去りにして、我々自身が前を向いてリスクに立ち向かうことができれば、わが国経済はチャンスを生かすことができるはずだ。
■バブル崩壊を経て、気づけば日本は
「一周遅れのフロントランナー」に?
1990年代初頭の大規模なバブルの崩壊以降、わが国のプレゼンスは大きく低下した。
80年台、わが国が“世界の工場”だった時期、世界中どこに行っても日本メーカーのブランド名が付いた電器製品を見ることができた。
また、一部のICチップにおいて、世界での市場占有率が8割を超える品目もあった。
ところが現在では、家電製品の有力ブランド名は、韓国のサムスン、LG、あるいは中国のハイアールにとって代わられた。
成長著しいスマートフォン市場でも、わが国企業の存在感は低下している。
そうした状況を見て、多くの投資家が日本株に対する興味を失ったり、国際社会の中で「日本が凋落しつつある」と認識し、
バブル崩壊後に経済が低迷する“日本病”
という言葉すらできた。
ただし、2000年代後半、欧米社会で大規模な不動産バブルが発生し、今その後始末にかまけている状況を冷静に分析すると、バブル崩壊後に経済活動が低迷期を続けることは、なにもわが国だけに限ったことではないことがわかる。
わが国が景気低迷に苦悩しているとき、現在FRBの議長を務めるバーナンキ氏は、当時のわが国を見て、「日銀はヘリコプターからおカネをまけば、日本の景気は改善する」と提言した。
そのバーナンキ議長は今、金融を超緩和気味にし、多額のドル紙幣を印刷して市中にばらまいている。
それでも、
「米国の労働市場の回復はイライラするほど遅い」
と認識している。
一方、バブル期に高い経済成長に酔ったユーロ圏は、今その大きな“ツケ”を払っている。
ギリシャやポルトガル、イタリアにまで信用不安の波が押し寄せ、下手をすると、ユーロの崩壊や世界大恐慌につながるとまで言われる状況になっている。
わが国は、バブルの後始末を先に終了したぶんだけ、「マラソンの先頭」に立っていると言える。
一周遅れかと思ったら、むしろ“フロントランナー”になっているのだ。
■バブルの後始末に苦しむ欧米諸国
復興需要の本格化が国内需要を刺激
足もとの世界経済を見ると、欧州圏の経済は、今後バブルの後始末に時間を取られることだろう。
ドイツを除く主要国は、いずれも財政支出を切り詰め、財政再建に軸足を置かざるを得ないからだ。
これから金融政策を緩めて資金を潤沢に供給し、共通通貨であるユーロ安政策を採って、輸出を振興することになるはずだ。
米国は、ユーロ圏よりも先に超金融緩和策を実施し、ドル安誘導によって輸出に依存した景気回復を意図してきた。
最近の経済指標を見る限り、その政策意図は相応の効果を上げている。
今後の課題は、労働市場の回復が遅れていることに加えて、来年の大統領選挙を控え、政治情勢が不安定なことだ。
財政赤字削減の協議が決裂したように、米国の政治が上手く役割期待を果たせないようだと、実体経済に与える悪影響は無視できない。
また、住宅市場の本格的な回復にはまだ時間がかかる状況下、労働市場の回復の遅れが、家計部門の消費活動に悪影響を与えるようだと、景気回復の足取りは一段と重くなるだろう。
中国などの新興国は、ユーロ圏の景気下落などの影響を受けることは避けられないものの、“経済年齢”の若い新興国には旺盛な成長のダイナミズムがある。
それほど心配はないだろう。
一方、わが国では、これから復興需要が本格化することが期待できる。
第三次補正予算の執行によって、おそらくGDPは1%程度押し上げられるはずだ。それは、国内企業にとって大きな福音だ。
また、国内需要に加えて、ベトナムやインドネシア、タイなどのアジアの新興国のインフラ投資が盛り上がってくると、わが国の産業界は、高い技術や生産余力を使って、その需要を取り込むチャンスがやってくる。
■リスクに対して冷静に対峙せよ
日本人は“縮み志向”から脱却できるか
1990年代初頭以降のわが国を振り返ると、我々自身があまりに自信をなくしていたことに気が付く。
バブルの学習効果があまりに働きすぎて、
「何をやっても上手く行かない」
と思いがちだった。
たとえば、米国流の金融工学の考え方が入ってくると、
「欧米流の考え方にはかなわない」
とすぐに尻尾を巻いてしまった。
しかし冷静に考えると、そうした先進の金融工学を駆使したLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)は、97年のロシア危機で破綻してしまった。
米国が誇った有力投資銀行のリーマンブラザーズも、08年9月に破綻の憂き目に遭った。
また、高い見識を誇ってきたユーロ圏の多くの国は、現在、バブルの後始末の“ツケ”を払っている最中であり、政策対応を誤ると国の財政が破綻するところまで追い込まれている。
つまり、我々日本人が手本として崇めてきた欧米社会も、わが国と同じことを繰り返し、同じ道を歩んでいるのである。
彼らが、我々が及びもつかない世界に住んでいるのでないことは明らかだ。
だからと言って、「欧米諸国にバチが当たった!」と言ってみたところで、始まらない。
そのチャンスを冷静に使うことを考えるべきだ。
円高が進んで、多くの国内企業が大変なことは確かだが、逆に言えば、海外企業を買ったり、海外への直接投資には好機になるはずだ。
要は、我々自身が今までの“縮み志向”から脱却して、リスクに冷静に対峙することが必要なのである。
闇雲にリスクをとることは、必ずしも勝利への道ではない。
冷静にリスクを検討して、「充分な勝算あり」と判断したら、大胆に事業展開を行なうことも必要になるはずだ。
2012年、今までの発想を転換して、色々なことにチャレンジしたいものだ。
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本当に聞こえてきているのかね。
私にはさっぱり響いてこないが。
耳が悪いのだろうか。
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