2011年12月24日土曜日

米原子力規制委員会、東芝の最新型原子炉を認可

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● Bloomberg 中国の原発



ウォールストリートジャーナル 2011年 12月 23日 11:28 JST
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_364837

米原子力規制委員会、東芝の最新型原子炉を認可

 米原子力規制委員会(NRC)は22日、東芝子会社の米ウェスチングハウス(WH)が開発した最新型の加圧水型原子炉(PWR)「AP1000」の設計を最終認可したと発表した。
 この結果、米国での同原子炉売却と原子力発電所建設に道が開かれた。

 今年3月の東日本大震災と大津波に伴う福島第1原発事故を受けて、WHの原子炉認可は全く不透明になったとみられていた。
 しかしWHは今回の認可を受けて、事故前以上にライバル原子炉メーカーに大きな差を付けたようだ。
 電力会社各社はWHのライバルメーカー設計の原子炉建設を遅らせるか、あるいは棚上げする計画だからだ。

 NRCは2006年初め、「AP1000」の原型モデルを承認していた。しかし設計上の改良が図られ、認可プロセスにその後5年間かかった。

 現在、米国の電力会社が求めている「AP1000」原子炉の建設認可は十数基で、他の原子炉の数を大きく上回っている。
 米ゼネラル・エレクトリック(GE)やフランス・アレバなど競争メーカーの開発・設計に基づく原子炉プロジェクトの建設は遅れたり、キャンセルされたりしている。
 今回の「AP1000」の認可の結果、米国ではWHがこれらライバル社に大きな差をつけたことになる。

 例えば米アトランタに本拠を置く電力会社サザンはジョージア州でAP1000原子炉2基の建設認可を申請している。
 総額は140億ドル(約1兆0900億円)で、それぞれ16年と17年に稼働の見通し。
 また電力会社スキャナもサウスカロライナ州で原子炉2基をそれぞれ16年、19年までに建設したい意向。両社ともNRCの建設認可を近く得られると期待している。

 NRCの認可を阻止しようと長い間戦ってきた原発批判論者は、今回のNRC認可に失望していると述べている。
 これら批判派は、原子炉の外部遮蔽建物など幾つかの点を疑問視している。
 遮蔽建物は事故発生時に原子炉を保護し、放射能漏れを防ぐ狙いがある。
 AP1000の遮蔽建物は、厚い鋼鉄プレートで挟まれたコンクリート層で構成されている。

 NRCの著名な技術専門家のジョン・マー博士は昨年11月、WHによる遮蔽建物の強度分析や他のNRCスタッフの見方に異議を唱える意見書をまとめた。
 同博士は、遮蔽建物が竜巻、地震、あるいはその他の災害に見舞われた場合、
 「遮蔽建物がエネルギーを吸収したり拡散できることが証明されていない」
ことを理由に
 「構造上の一貫性が保証できない」
と主張した。

 実際、WHのロルフ・ジーリング氏(原子力認可担当ディレクター)は、遮蔽建物の設計が
 「規制当局の厳しい見直しの焦点だった」
と述べ、批判派が表明した数々の懸念を受けて、改良がほどこされたと述べ、
 「われわれは十二分に改良した」
と語った。

 WHのアリス・キャンドリス最高経営責任者(CEO)は、日本の原発事故がNRCによる点検プロセスに新たな不透明要因を加えたと述べた。

 AP1000は幾つかの点で既存の米原子炉と異なっている。
 それは受動的な冷却システムを採用しており、重力や原子炉の熱を利用して原子炉を冷やしている。
 またポンプやバルブといった揺れやすい部品の数を少なくしている。

 福島第1原発では、地震と津波で電源が喪失し、冷却システムが機能しなくなった。
 幾つかの原子炉が過熱で損傷を受け、放射能物質が放出され、周辺地域の住民の避難を余儀なくされた。
 AP1000は電源ないしオペレーターの行動がなくても冷却を続けられる設計になっている。

 キャンドリスCEOは
 「福島第1原発事故の教訓は恐らく、受動的な冷却システムを備えて電源の完全喪失に耐えうる能力のある設計にしていない原子炉建設は、意味をなさないということだろう」
と述べ、それがAP1000が提供する利点だと強調した。





asahi.com 2011年12月23日21時3
http://www.asahi.com/international/update/1223/TKY201112230246.html

米、原発建設34年ぶり認可へ 東芝傘下の新型炉採用

 米原子力規制委員会(NRC)は22日、東芝傘下の米ウェスチングハウスが開発した改良型加圧水型炉「AP1000」を、米国内で使用できる原子炉として認定した。
 これによりAP1000の採用が決まっている国内2カ所4基の原発の建設・運転の申請が年明けにも認可される見通しとなった。
 米国で原発建設が認可されれば、1978年以来34年ぶりとなる。

 米オバマ政権は東京電力福島第一原発事故後も、地球温暖化対策やエネルギーの安定供給のため原発推進を維持する方針を掲げている。

 同社によると、AP1000は緊急時に電源や作業員の操作なしでも自動的に原子炉の冷却が維持される仕組みという。
 2007年の申請以来、NRCの審査が続けられていた。
 福島原発事故で認定が遅れるとの見方もあったが、NRCはこの日、
 「航空機が衝突しても耐えうるような十分な安全性を持った設計であることが確認された」
とするヤツコ委員長のコメントを発表。
 NRCの広報官は
 「AP1000の2カ所の新規申請について来年早々にも認可できる準備が整った」
と述べた。

 建設・運転が認可される見通しなのは、ジョージア州のボーグル原発(3、4号機)とサウスカロライナ州のサマー原発(2、3号機)の計4基(いずれも110万キロワット級)。いずれも08年に申請し、10年代後半の運転開始が目標。




asahi.com 2011年12月23日23時49分
http://www.asahi.com/business/update/1223/TKY201112230586.html

日立、リトアニアと原発建設の仮契約締結

 日立製作所は23日、リトアニア政府が建設を計画中のビサギナス原子力発電所の建設受注に向け同国と仮契約を結んだと発表した。
 今後、ラトビア、エストニアを加えて共同出資のプロジェクト会社をつくり、来年2月の基本合意を目指す。正式に契約できれば日立が海外から原発建設を受注する初のケースとなる。




朝鮮日報 記事入力 : 2011/12/24 09:31
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/12/24/2011122400443.html

【社説】「フクシマ以後」も変化がない韓国の原発政策

 韓国水力原子力は新たに140万キロワットの原子炉4基を建設する候補地として、江原道三陟市と慶尚北道盈德郡の2カ所の名前を公表した。
 現在、原子力発電所がある古里、霊光、月城、蔚珍に加えてこの2カ所に新たに原子力発電所が建設されると、韓国国内の原発は計6カ所となる。

 東日本巨大地震に伴う福島第1原子力発電所の事故が発生する以前は、
 「原子力発電所で生み出される電力は割安で安全」
という前提の下で、世界中で新たな原発建設が進められてきた。
 しかし日本政府の「コスト等検証委員会」は先日、
 「原発のキロワット/時あたりの発電単価は8.9円以上
という新たな研究結果を発表した。
 これは2004年に日本の資源エネルギー庁が試算した
 「キロワット/時あたり5.9円」
に比べると、およそ50%も割高だ。
 その理由は、
 「以前は原発事故の復旧にかかるコストや解体撤去費用を計算に入れてこなかったため」
だという。
 ちなみに石炭火力はキロワット/時あたり9.5円から9.7円とされているため、これでは原発と石炭火力とどちらが低コストか判断しにくいほどのレベルになってしまう。

 日本政府は福島原発事故の復旧に必要な費用を、
 「今後10年でおよそ23兆円
と試算している。
 そのためもし韓国国内で同じような規模の事故が発生した場合、韓国経済は完全に崩壊すると見なさねばならない。
 福島での事故で原発の大きなリスクが改めて注目を集めたことで、ドイツ、イタリア、スイスなどは新たな原発建設を取りやめると同時に、今ある原発の稼働まで中断することを決めた。

 ところが「フクシマ以後」にはじめて公表された韓国での新たな原発建設候補地は、「フクシマ以前」となる2008年8月に発表された国家エネルギー基本計画におけるスケジュールそのままだ。
 この基本計画は2010年に34.2%だった原発の占める割合を、
 30年までに59.0%
にまで引き上げ、また原子炉の数も現在の
 21基から40基に増やす

ことを目指している。

 もちろん政府としても簡単に下した決定ではない。
 新リサイクルエネルギーを原発の代わりに据えることは現時点では難しい。
 当局の試算によると、太陽光と風力の発電単価はそれぞれ原子力の14倍と5倍で、しかも広大な敷地が必要という弱みもある。
 9月に計画停電が行われた際には、直ちに原発を増やすべきという主張が力を持ったのも事実だ。
 しかし政府が原発の拡大を進めるのであれば、たとえ巨額の費用がかかったとしても、原発の安全性を画期的に高める方法はないのか、あるいは原発以外にエネルギーを確保する方法はないのかなど、これらに対する徹底した研究の結果を提示し、国民を説得することが必要だ。
 海外の専門家を招待して原発の安全性とコストを改めてチェックし、原子力政策の根本から見直すことも一つの方法だろう。
 現在、政府は9カ月前に発生した福島原発事故をすでに忘れ、3カ月前の停電だけを大きく取り上げている。
 これでは国民の不安を払拭することは到底できないだろう。






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