2011年12月16日金曜日

ついに、電力使用量の取り締まりに着手

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● 電力の過剰消費に対する取り締まり初日の15日、本格的な寒波の到来により、電力消費量はむしろ急増した。
 今年9月に起きた大規模な停電事故を受け、政府は電力の過剰消費に歯止めを掛けるため、合同取り締まりに着手した。
 だが、市民らは事の重大さをあまり感じていない様子だ。
 ソウル市中区明洞のある大型ショッピングモールでは、厳しい寒さの中でも正面のドアを開けっ放しにして、ハロゲンヒーターを付けている。/朝鮮日報より



朝鮮日報 記事入力 : 2011/12/16 11:35
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/12/16/2011121601336.html

電力使用量の取り締まりに着手、右往左往する人々
温度の測定場所などをめぐり反発も

 「暖房の設定温度を20度にすると、女性社員たちがどれだけ抗議するか分かりますか」

 15日、ソウル市銅雀区内のビルの8階にあるオフィス。
 エネルギー使用量制限に違反している施設に対する取り締まりに乗り出した合同取り締まり班と、ビルの管理人との間で口論になった。
 このビルの三つのフロアで室内の温度を測定したところ、制限の20度を上回る22度に達していたからだ。
 エネルギー管理公団のチェ・ソンウン課長は
 「今回は注意するだけにとどめておくが、次回からは容赦なく警告状を手渡す」
と語った。

 電力の過剰消費に歯止めを掛けるため、全国的な合同取り締まりがこの日始まった。
 1時間当たりの電力使用量が100キロワットを超える全国の施設で、室内の温度が20度を超えた場合、1回目は警告状を手渡すにとどまるが、2回目からは300万ウォン(約20万円)の過料を科す。
 また、ネオンサインは午後7時以降に一つだけ点灯することができる。
 ところが、制限規定があいまいなため、取り締まりを行う側も、取り締まりの対象となる側も右往左往しているのが実情だ。

 午前11時、ソウル市中区明洞のロッテ百貨店では、取り締まり班と店員たちが温度の測定場所をめぐって口論となった。
 7人の合同取り締まり班が測定した室内の気温が21.4度だったことに対し、同百貨店の関係者は
 「多くの人が集まっている状態で、照明の下で温度を測定したため高くなった」
と抗議した。
 その後、取り締まり班が明洞以外の3店舗で温度を測定し平均を算出したところ、20度を下回ったため、同百貨店は合格となった。

 一方、明洞のロイヤルホテルは警告状の交付対象となった。
 同ホテルも温度の測定場所をめぐって反発した。
 警告状を受け取った同ホテルのファン・ジンソン施設部長は
 「温度を測定した21階は壁全体がガラス張りのため、温度が高くなったにすぎない」
と反論した。

 ネオンサインをめぐっても一悶着(もんちゃく)があった。
 この日取り締まりの対象となった1412カ所の施設のうち、暖房をめぐって7カ所、ネオンサインをめぐって43カ所に警告状が交付された。
 知識経済部(省に相当)のソ・ガラム・エネルギー節約協力課長は
 「今冬の電力使用量を規制しなければ、9月15日のような大規模な停電事故の再発が懸念される」
と語った。


 韓国の発電所は緊急事態になっている。


東亜日報 DECEMBER 15, 2011 07:31
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=020000&biid=2011121507038

 2ヵ所の原子力発電所(原発)が相次いで運転を停止し、14日午前には予備電力率が1ケタ台まで下がるなど、政府の電力供給能力が非常事態となった。

 韓国水力原子力は、
 「13日午後、95万キロワット級の蔚珍(ウルチン)原発1号機に続き、14日午前に95万キロワット級の古里(コリ)原発3号機の運転が停止した」
とし、
 「蔚珍1号機は、蒸気を凝縮する設備に問題が生じたと見られるが、古里3号機の停止原因は調査中だ」
と明らかにした。
 これに先立ち9日には、蔚山(ウルサン)火力発電所(40万キロワット級)の運転が停止し、計230万キロワットの電力供給に支障が生じた。
 これは、政府が来年2月末までに確保する計画の1日の最少予備電力量(500万キロワット)の半分に相当する。

 同日午前9時50分頃、予備電力率が8%まで下がると、韓国電力公社の金重謙(キム・ジュンギョム)社長は電力非常需給対策会議を開き、電力の大口需要の企業など4013ヵ所に電力の使用を自制するよう要請した。

 知識経済部は、
 「2ヵ所の原発が停止したが、同日の予備電力は平均679万キロワットを維持した」
とし、
 「より寒くなれば、事前に契約した企業に対する需要の削減や大口需要先の10%の義務削減、暖房温度の制限などを通じて電力を確保する」
と明らかにした。

 2ヵ所の原発の運転が停止したほか、
 点検中の蔚珍4号炉(100万キロワット)、
 5号炉(100万キロワット)、
 月城(ウォルソン)4号炉(70万キロワット)
を合わせると、計5機の原発が発電を停止した状態だ。
 国内の原発21機のうちの5機であり、発電容量は460万キロワットにのぼる。

 最近5年間の故障による停止件数を見ると、07年が12件で最も多く、08年7件、09年6件、10年2件だった。
 今年は7回故障で停止している。




朝鮮日報 記事入力 : 2011/12/19 13:00
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/12/19/2011121901578.html

【コラム】貿易総額2兆ドルを阻む電力不足

 韓国は今年、世界で9番目に貿易総額1兆ドルを突破した。
 これを踏まえ、韓国政府は「貿易総額2兆ドル」を新たな目標に掲げた。
 李明博(イ・ミョンバク)大統領は
 「貿易総額2兆ドル時代を迎えるためには、政府主導という考えを捨て、企業が必要なものを下支えすべきだ」
と発言した。
 知識経済部(省に相当)の洪錫禹(ホン・ソクウ)長官は
 「貿易2兆ドル時代を前倒しするため、輸出の底辺拡大に力を入れる」
と述べた。
 また、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の呉永鎬(オ・ヨンホ)社長は
 「貿易2兆ドルに見合う韓国式の貿易成長モデルをつくろう」
と呼び掛けた。
 いずれも正しい発言だが、具体的な計画は示されていない。

 貿易2兆ドルが叫ばれる中、企業の現場は掛け声だけの政府と電力不足の懸念に不安を募らせている。
 今月15日から政府による節電対策が半強制的にスタートし、各社とも取り締まり班との戦争に直面している。
 来年2月まで77日間、ピークタイムの電力消費量を10%減らさなければならない大企業の工場は、全国で1万4000カ所以上に上る)このうち大多数は
 「これ以上電力消費を減らせというのは、工場を閉鎖しろと言うに等しい。
 1日に300万ウォン(約20万円)、最大で2億ウォン(約1340万円)を超える過料を払わざるを得ないが、果たしてこれを、貿易2兆ドルを目指す政府の企業支援策と呼べるのか」
と不満を漏らしている。

 貿易2兆ドルは、韓国の経済と社会の二極化問題を解決する出発点となる。
 20代の大学生には就職、
 30-40代にはマイホームと子どもの教育、
 50代以上には安心できる老後保障が必要だ。
 これらの基礎を築くのは、輸出入の拡大による経済成長に懸かっている。
 だが、経済成長は大小の工場が全国数百カ所の工業団地で
 電力を猛烈に消費してこそ可能
となる。
 電子、自動車、石油化学、機械部品などの生産設備は電力を大量に消費するが、これらの業種は韓国経済を支える重要な存在だ。

 最近10年で韓国の産業用電力消費量は毎年7%のペースで増加した。
 昨年9月から1年間に新たに指定された工業団地だけで73カ所に上る。
 工業団地が正常に稼働するためには、毎年原発を1基建設しなければならないほどだ。
 産業用電力需要が増えると、商業用、住宅用の電力需要も増えるため、電力供給能力を強化しなければならないが、現実は正反対だ。

 貿易2兆ドルは自然に達成されるものではない。
 海外に進出した韓国企業を呼び戻し、中国や日本の企業までも韓国の工業団地に誘致しなければならない。
 韓米自由貿易協定(FTA)も韓国を生産拠点とし、世界最大の市場である米国と自由貿易を行う狙いがある。
 ゆえに、日本、中国、欧州の企業が韓国を生産基地とすることも可能だ。
 しかし、産業生産施設に電力が安定的に供給されなければ、それは不可能だ。

 「毎年7%の経済成長、1人当たり国民所得4万ドル、世界7位の経済大国」
を目指す李明博政権の「747公約」は達成されることなく、放棄された。
 しかし、残り任期1年となった現政権は、貿易2兆ドル達成に向けた地ならし程度は整備し、任期末を迎えるべきだ。
 第一に電力の安定供給だ。それ以外は、大統領が言うように、企業が求めるものを支援すればよい。
 貿易2兆ドルに向けた元年となる2012年は、政権首脳が深刻化する電力不足問題の解決に真剣に取り組むだけでなく、貿易2兆ドル突破に必要な電力インフラの整備構想を示すべき1年間だ。
 この問題が解決されない限り、貿易総額が再び1兆ドル以下に落ち込む可能性があることを認識すべきだ。


 貿易だけが突出して生活環境が伴わない歪な経済構造になってしまった韓国。
 この貿易を支えているのが、原価割れした電力
 「貿易総額2兆ドル」とは赤字電力の上に築かれた楼閣
とも言える。
 まともにソロバンをはじくととんでもないことになってしまい、それを直視できるほど韓国の経済は豊かではない。
 赤字輸出、言い換えれば動力の自転車操業の上に築かれた貿易額。
 「恐怖の貿易」を支えているのが赤字電力。
 世界大不況に入った今、こういう外国頼みでどこまで踏ん張りきれるかが正念場。
 先は暗い、真っ暗。





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