2011年12月4日日曜日

国が成長しても不幸な国民

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朝鮮日報 記事入力 : 2011/12/04 10:07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/12/04/2011120400148.html

【コラム】国が成長しても不幸な国民

 与党ハンナラ党の朴槿恵(パク・クンヘ)元代表は先ごろ
 「今後は(成長率ではなく)雇用率を経済政策の指標とすべきだ」
と述べた。
 これまで保守政権が掲げてきた成長中心の政策の大転換を宣言したようにも聞こえる。
 この発言に対してはすぐに
 「皆、頭では分かっていても行動できないだけだ」
という批判が出たが、雇用重視の姿勢を示すことだけでも政策がもたらす効果は違ってくる。
 政策の中心が向かう場所に、国の目指す先もシフトするからだ。

 フランスのサルコジ大統領は、世界的な金融危機後の2009年に
 「われわれが建設する文明の形態は、それを測る方式によって異なる」
と述べた。
 サルコジ大統領は、国内総生産(GDP)の成長にこだわっても、人々の生活は苦しくなるだけだと指摘し、
 国家経済と国民生活をGDPという物差しだけで測ってはならないと力説した。

 サルコジ大統領は、世界の学識者を集め、
 GDPに代わる新たな経済指標作りを目指す「スティグリッツ委員会」を創設した。
 同委の報告書は
 「われわれは(GDPなど経済成長と関連した)指標の矛盾が行き詰まり、壁にぶち当たるのを待つしかなかった。
 『国民総幸福』の増進のために新たな指数を探し求めよう」
と提言した。

 サルコジ大統領の主張通り、われわれはこれまで慣れ親しんできた統計数値にとらわれてきたか、あるいは統計という名前にだまされていたのかもしれない。
 その代表的な例が青年の失業だ。
 韓国の若者は80%が大学に進学し、そのうち相当数が海外に語学研修に出掛ける一方、一部は学費を払えず休学する。
 男子学生には兵役もある上、良い職場にありつくためには、就職浪人、試験の準備に明け暮れることになる。

 生産可能年齢(15-64歳)の序盤に当たる10-15年を、そのように無駄にする国は他にないだろう。
 しかし、その間、彼らは失業統計に反映されないため、韓国の青年失業率は8%にとどまり、スペイン(41.7%)、イタリア(27.8%)、フランス(23.5%)などに比べはるかに低い。
 にもかかわらず、雇用率は経済協力開発機構(OECD)加盟国の最下位に近い。
 統計という名のまやかしはそれほど大きな威力を持つというわけだ。

 家計所得もそうだ。
 韓国で2人以上の世帯の平均年間所得は、2003年の2846万ウォン(約195万円)から09年には3055万ウォン(約210万円)へと7.3%増えた。
 しかし、同じ期間に所得の中間値は2581万ウォン(約177万円)から2664万ウォン(約183万円)へと3.2%増加するにとどまった。
 上流層は大金を稼ぎ、全体の平均所得を押し上げたが、大多数の国民の所得増加は物価上昇分にも満たなかった。

 韓国の大手石油元売り会社は、石油製品の大半を輸出すると胸を張っているが、
 その輸出競争力は安い電気料金によるところが大きい。
 韓国電力公社の累積赤字を肩代わりしなければならない国民が、雇用効果が薄い石油業界の輸出実績を喜ぶ理由は特にない。
 韓国の自動車メーカーが海外工場で生産した自動車で稼いだ収入も、大半は株主の利益になるだけだ。

 成長せず、利益も出さずに存続できる企業はない。
 しかし「皆が幸せな成長」を目指すならば、戦略は異なってくる。
 そんな変化を宣言したと言えるのが、新たな資本主義を目指す「資本主義4.0」の実践プランの一つだ。
 (編注:資本主義4.0とは、経済学者アナトール・カレツキー氏が提唱した資本主義の進化段階)




朝鮮日報 記事入力 : 2011/12/04 10:42
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/12/04/2011120400207.html

韓国のベビーブーム世代、老後の備え不十分
退職後の生活に必要最小限の資産、280万人が保有せず

 地方の産業団地にある中小企業に勤務するLさん(54)は、定年まであと2年だ。
 Lさんが保有する資産といえば、10年前から住んでいる30坪(約99平方メートル)のマンション(1億2000万ウォン=約828万円)と、数年前に預金をはたいて購入した郊外の宅地(5000万ウォン=約345万円)、数口の保険が全てだ。
 定年後の資金を集めるため、5年前から年金貯蓄の積み立ても始めたが、来年に次女の結婚資金として使わなければならなくなった。
 Lさんは
 「これから食べていくためには、退職後に日雇いの仕事でもするしかない」
と話した。

 Lさんをはじめとする韓国のベビーブーム世代(1955-63年生まれ)の大量退職が目前に迫っている中、多くの人たちは老後の備えが十分とはいえないのが実情だ。
 ベビーブーム世代は、韓国の人口の14.6%(713万人)を占めている。
 これまで激しい競争の中を生き抜いてきただけに、老後は楽な生活を送りたいと望んでいるが、現実は冷たく厳しい。
 ベビーブーム世代の世帯主370万人のうち280万人が、退職後の生活に必要最小限の資産を保有していないことが分かった。
 KB金融持株の経営研究所が1日、統計庁の「2010年家計金融調査」を基に分析した結果、こうした厳しい現実が浮き彫りになった。

■退職後の資金が不足

 同研究所による調査の結果、ベビーブーム世代の世帯の平均資産額は3億3775万ウォン(約2330万円)だった。
 これは不動産や預金、ファンド、伝貰(チョンセ=高額の保証金を預ければ、その運用益で家賃負担が不要となる韓国独特の賃貸制度)の保証金などを全て合計した金額だ。
 統計庁の調査で、ベビーブーム世代の人たちは、退職後に最低限の生活を送るため、月に148万ウォン(約10万2000円)が必要だ、と回答した。
 55歳で定年を迎えてから、平均寿命の83歳まで生活を送るためには、少なくとも3億6000万ウォン(約2485万円)が必要だという試算もある。
 平均資産と退職後に必要な資金がほぼ同程度というわけだ。
 問題は、退職後に必要な資金を3億6000万ウォン以上保有しているベビーブーム世代が全体の24.3%にすぎず、資産をめぐる格差が大きいという点だ。

 また、現在保有している資産が、退職後に必要な資金の50%(1億8000万ウォン=約1240万円)に満たない世帯は51.7%に達し、さらに10%(3600万ウォン=約249万円)にも満たない世帯が15.8%に達した。

 現在保有している資産を、退職するまで維持できる可能性も高くはない。
 子どもの結婚(平均7800万ウォン=約538万円)や大学の入学金(2500万ウォン=約173万円)、海外留学に必要な費用(7100万ウォン=約490万円)、独立開業(1億2600万ウォン=約870万円)など、金が出ていく先があちこちにあるためだ。

■子どもの扶養も期待できない

 同研究所は、退職後に
 最低限の生活費を賄える世帯(24.3%)を「余裕グループ」に、
 生活費の半分も賄えない世帯(51.7%)を「危険グループ」に、
 それ以外の世帯を「潜在的な危険グループ」に
分類し、資産の実態を再度分析した。
 ベビーブーム世代の資産構造をめぐる最大の問題は、資産の大部分(76.3%)が住宅などの不動産だという点だ。
 もし、不動産を処分せず、金融資産だけで老後の生活を送る場合、危険グループは定年から3年以内、潜在的な危険グループは7年以内、余裕グループも10年以内に資金が底をつく、と同研究所は分析した。

 55歳で定年退職したベビーブーム世代は、統計上ではあと28年間過ごすことになるため、不動産などの資産を処分しなければ、退職後の生活が不可能になるというわけだ。

 ベビーブーム世代は、それ以前の世代とは異なり、子どもたちの扶養に期待するのも困難だ。
 2002年の調査では、30代の68%が「年老いた親を扶養するのは家族の責任」と回答したのに対し、昨年の調査では、30代で同様の回答をした人は32%にすぎなかった。




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